「七・五・三」という言葉があります。
中卒の7割、高卒の5割、大卒の3割が入社3年以内に就職した会社を辞める比率です。
ひどい場合は、4月1日の入社日に辞めるというケースもあります。
リアリティギャップ・・・自分の想いと現実の落差に失望して辞めるということだと思います。
会社は新卒の採用のために、広告費や採用費用など一人100万円以上の経費をかけていると言われています。
それに、新入社員教育や月々の賃金や福利厚生費など30万円×12か月で360万円が乗っかります・・・ほとんど組織貢献がないにも関わらずです。
企業としては大損失ですし、配属された部署の上司、管理職の評価は下がります。
さらには、会社に復讐するという「リベンジ退職」する社員もおり、企業組織も大変です。
最近では、退職代行会社の業績が良いそうです。
「モームリ」
派手なサイネージ広告トラックが街なかを駆け抜けていきます(笑)。
退職代行。
新入社員や中堅社員が「もう、無理」と言って退職代行会社にフィーを支払って会社を辞めて行くというものです。
人事部の人事担当者は、大変だと思います。
会社への恩や感謝、先輩社員や上司への礼儀が皆無です。
「石の上にも3年」という言葉も死語になったようです。
そうして辞めて行く社員も前途多難だと思いますが、人手不足、若手不足のニッポンでは何とかなっているようですので、何だかなあと言う感じです。
ただ、雇用契約については、労基法の前に民法の規程があります。
「辞める」と辞表を出したとしても、正当な理由がない限り、引き継ぎや各種手続きのために2週間の期間を置かなければなりません。
民法上の雇用契約に基づき、最後まで誠意を持って仕事をしていくという「信義則」が存在します。
使用者、経営者としては、信義則違反に対して損害賠償請求、債務不履行を問うことが出来ます。
そろそろ裁判所から、退職代行に関する判決、判例が出てくると思います。
労働法は労働者を守る法律ですが、世の中は甘くない!と鉄槌を下していただきたいものです。
問題は、この国の少子高齢化、人口減少、国際競争力低下、円安にあると思います。
30年間、給料が上がっていない日本、6人に一人が貧困層という現実、上がり続ける社会保険料や税金・・・何だか変です。
ポリティカル・アパシー・・・政治的無関心層とシルバーデモクラシーが今の政治や行政を形作ってしまいました。
安倍政権でスタートした働き方改革も個人的には概ね良いと思います。
ジョブ型雇用に親和性のある高度プロフェッショナル制度や専門業務型裁量労働制、企画業務型裁量労働制、変形労働時間制などを活用すれば、高スキル、高度な専門性を有する働く人たちをフル活用させることが出来るはずです。
ゆるゆるホワイト会社・・・残業もなく、パワハラもない・・・仕事が楽すぎて、このままではスキルやキャリアが高まらない、専門性が身につかないと辞めて行く若者もかなりいます。
ブラック企業ではまずいですが、若者たちに専門性、キャリア、手に職を与えて行くことも視野に入れなければなりません。
マネジメント学者のピーター・ドラッカー博士も「最初の就職はギャンブルだ。職業経験のない学生は企業を見極められない。」と喝破しています。
ドラッカー博士も若き日から転職を繰り返してきました。
ただ、実際は労働時間の短縮、ワークライフバランスの「ライフ」ばかりにスポットライトが当たり、楽して働いて低賃金という方向に流れているような気がします。
「今だけ、金だけ、自分だけ」が加速しているように思えます。
このままでは、座して死を待つしかありません。
資源や軍事力のない日本を救うのは、人財しかありません。
ひとり一人がキャリア、仕事力を高め、世のため、人のため、社会のために役立つ人材を作り出していくしかありません。
もう一度、「坂の上の雲」を目指して行かなければならないと思います。